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社長あいさつ

代表取締役 立山隆一写真
近江クーパレジ株式会社 代表取締役社長

立山 隆一

2009年まで需要が落ち込んでいた、ウイスキー市場がハイボールのブームなどから再び盛り上がり、成長を続けています。また、サントリーの「響」や「山崎」「白州」がさまざまな世界的コンペティションで金賞を受賞するなど、ジャパニーズウイスキーが評価され、市場も国内から世界へと広がりました。右肩上がりのウイスキー市場で原酒の需要が増えるに伴い、原酒の熟成に欠かせない樽もまた、増産を求められています。

科学が進化しても、いまだ木で造られた樽に代わるものはありません。ウイスキーは、樽の中で長い熟成期間を経て、木の成分によってじっくりと甘みや香りを醸します。つまり、樽がウイスキーの出来を左右すると言っても過言ではありません。だからこそ、ウイスキーにとっての命とも言える樽を造る樽職人の技術は、非常に重要です。機械化が進む樽づくりですが、要の部分は今も職人の手仕事。乾燥させて含水率をコントロールし、加工された材を見て樽にふさわしいかどうかを一枚一枚選別し、これを側板の形に加工する。機械で組み立てた後は、ハンマーで帯鉄を仮締め、そして機械で締め仕上げ、漏れないかチェックします。こうして、木の特性を熟知した手仕事で、接着剤を使わずとも漏れない樽になります。自然の木でできているから、この製法なら必ず同じものができるという理屈はありません。だから増して面白い。

樽は、熟成期間が終わるとメンテナンスを経て再び熟成に使われます。それが10年後、20年後になって、もう一度自分のもとに返ってくることがあります。鏡板(樽の蓋に当たる部分)に、以前自分が修理した際に書いたサインを見つけて、過去の自分の腕前に恥ずかしい思いをすることもあれば、時には自分の生まれた年の樽が返ってきて感慨深い思いにふけることもあります。30年、50年と使われ続ける樽だからこその巡り合わせ。これもまた、樽づくりの魅力です。

大きいものでは一樽130kgもある樽。しかし、必ずしも力のある人間が職人に向いているというわけでもありません。大事なのは、一つのことを突き詰めること。試行錯誤を繰り返し、学び、一つのことにバカになれば、一流の樽職人になれます。心熱く、妥協しない仕事が良い樽を作り、美味いウイスキーをつくるのです。 樽職人が持つ技術は全て、お客さまの「美味しい」の一言のため。この技術を継承しつづけ、世界的に評価の高いサントリーウイスキーへの期待に樽づくりから応えるのが当社の使命です。さらに今後はこの技術とノウハウを活かし、樽材の再生など新しい分野への挑戦も視野に入れています。

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